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The Noble Qur'an Encyclopedia

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The cave [Al-Kahf] - Japanese translation - Saeed Sato

Surah The cave [Al-Kahf] Ayah 110 Location Maccah Number 18

その僕(ムハンマド*)に啓典(クルアーン*)をお下しになり、それにいかなる歪み[1]ももたらされなかったアッラー*に、称賛*あれ。

(矛盾のない)まっすぐなものとして(、それをお下しになった)。(不信仰者*たちには)かれの御許からの凄まじい猛威[1]を警告し、正しい行い*を行う信仰者たちには、善き褒美(天国)は彼らにこそある、と吉報を伝えるためである。

彼ら(信仰者たち)はそこに、永遠に留まる。

また、「アッラー*は御子をもうけられた」と言った者たちに警告するため(、クルアーン*をお下しになった)。

彼らにも、彼らの先祖たちにも、それについて何の知識[1]もない。彼らの口から出る言葉の、何と由々しきことか。彼らは嘘を言っているに外ならないのだから。

(使徒*よ、)あなたは彼らの(背き去る)跡を見て、ひどい悲しみで身を切り裂く思いであろう。もし彼らが、この話(クルアーン*)を信じないのであれば。

本当にわれら*は、地上にあるものを、その飾りと(、地上の住人の利益と)した。(それは)われら*が、彼らの誰が最も行いが善いか、試練にかけるため。[1]

そして本当にわれら*は(現世が終わる時)、そこにあるものを必ずや、まっさらな地面としてしまうのである。

いや、一体(使徒*よ、)あなたは、洞窟と碑文[1]の人々が、われら*の(他の)御徴よりも、驚くべきものだと思ったのか?[2]

(信仰者の)若者たち[1]が(、不信仰な民*からの抑圧を逃れて)洞窟に避難し、(こう)言った時のこと(を思い起こさせよ)。「我らが主*よ、あなたの御許からのご慈悲を、私たちにお授け下さい。そして私たちの状況を、正しくお取り計り下さい[2]」。

それでわれら*は長年に渡って、洞窟の中で彼らの耳を遮った[1]。

それからわれら*は、彼らを目覚めさせた。(それは)彼らが過ごした期間について、二派[1]のいずれがより正しく計算する者かを、如実に表すためであった。

(使徒*よ、)われら*はあなたに、彼らの消息を真実のままに語って聞かせよう。本当に彼らはその主*を信じ、われら*が(真理の)導きを増やしてやった若者たちである。

また、彼らが(、偶像崇拝を命じる不信仰の王の前に)立ちあがり、(こう)言った時、われら*は彼らの心を(信仰心で)繋ぎとめた[1]。「我らが主*は、諸天と大地の主*。私たちは決してかれをよそに、いかなる神[2]にも祈ったりはしません。そうすれば私たちは確かに、(真実から)逸脱したことを言ってしまったこと[3]になります」。

(それから彼らは、互いにこう言い合った。)「これら私たちの民は、かれ(アッラー*)を差しおいて、(アッラー*以外のものを)神々とした[1]。どうして彼らは、自分たち(のしていること)に対する、明白な根拠を持って来ないのか?一体、アッラー*に対して嘘を捏造する者より、ひどい不正*を働く者がいようか?

あなた方が彼らと、彼らが崇めているアッラー*以外のものから離別するためには、(あなた方の主*だけを崇拝*すべく、)洞窟に避難せよ。あなた方の主*は、あなた方のためにそのご慈悲から豊富に与えられ、あなた方の状況をあなた方に便宜よく取り計らって下さろう」。

(そして彼らが洞窟に避難した時、アッラー*は彼らを眠らせ、お守りになった。)あなたは太陽が昇った時には、それが彼らの洞窟から右側に傾き、沈んだ時には、左側へと彼らをよけるのを見る[1]。彼らは、その中の(中央の)広い所にいたのだ。それはアッラー*の(御力を示す、)御徴の一つである。誰であろうと、アッラー*がお導きになる者こそは、(真実へと)導かれた者。また、かれが誰かを迷わせるならば、あなたはその者に、正道へと導くいかなる庇護者も見出すまい。

また、あなたは彼らが眠っているにも関わらず、目覚めているように思うであろう。そして、彼らの犬が(洞窟の)入り口で両の前足を伸ばしている中、われら*は彼らを右に左に転がした[1]。もし彼らを見たら、あなたは彼らから逃げて踵を返し、彼らに対する恐怖で一杯になったであろう。

(彼らを長年に渡って眠らせ、守ったのと)同様に、われら*は彼らを(昔と何の変わりもない状態で)目覚めさせた。(それは)彼らが互いに、尋ね合うようにするためであった。彼らの内のある者は言った。「あなた方はどれ位(眠って)過ごしたのか?」彼ら(の内のある者たち)は言った。「一日か、一日足らずを過ごしたのだ」。彼ら(の内の別の者たち)は言った。「あなた方の主*が、あなた方の過ごした期間をもっともよくご存知である(のだから、その知識はアッラー*に委ねよ)。(それよりも、)あなた方の内の誰かを、あなた方のこの銀(貨)と共に町へ遣わし、誰が(町の中で)一番清い食べ物[1]を持っているかを調べさせ、そこから糧(としての食料)を持って来させるのだ。そして、(買い物の際には、私たちのことがばれてしまわないよう)細心の注意を払わせ、あなた方のことを誰にも、決して感づかせないようにせよ。

本当に彼らが、もしあなた方のことを知ったならば、あなた方を(石で)打ち殺す[1]か、あるいはあなた方を彼らの宗教へと戻してしまうだろう。そしてそうなれば、あなた方は断じて、永遠に成功することはあるまい」。

(彼らを長年の眠りに落とし、それから目覚めさせたのと)同様に、われら*は彼らを(その時代の人々に)発見させた[1]。(それは)彼ら(発見者ら)が自分たちの間で彼らの問題[2]について言い争っている時、彼らが(復活という)アッラー*のお約束は真実であり、(復活の)その時(の到来)には疑惑の余地がないことを知るためであった。そして彼ら(発見者ら)は(、洞窟の人々が死んだ後)、言った。「彼らの(洞窟の)上に、(入口を塞ぐ)建物を建てよ[3]--彼らのことは、彼らの主が最もよくご存知である[4]--」。彼らの諸事に発言力のある者たちは、言った。「私たちは必ずや、彼らの(場所の)上にマスジド*を建てよう[5]」。

彼ら(洞窟の人々に関し、ああでもないこうでもないという啓典の民*)は、言うであろう。「(彼らの数は)三人で、四人目が彼らの犬だった」。また、(別の者たちは)言う。「(彼らの数は)五人で、六人目が彼らの犬だった」。(彼らのいずれも、)あてずっぽうなのだ。また、(別の者たちは)言う。「(彼らの数は)七人で、八人目が彼らの犬だったのだ」。(使徒*よ、)言ってやれ。「我が主*が彼らの数について、最もよくご存知。僅かな者しか、彼ら(の数)について知る者はいない」。ならば、彼ら(の数)に関しては表面的な議論[1]しかしてはならず、彼ら(啓典の民*)の内の誰にも、彼ら(の詳細)について教示を請うてはならない。

また、(自分がやろうと決めた)いかなることについても、「本当に私は、明日それをやろう」などと、決して言ってはならない。

但し、アッラー*がお望みならば、(と言い添えるのであれば)別であるが[1]。そして(その言葉を言うのを)忘れてしまったら、あなたの主*を念じ[2]、(こう)言うのだ。「我が主*は私を、これよりももっと正しく導いて下さるだろう[3]」。

彼らは、彼らの洞窟の中で三百年間(眠って)過ごし、更に九(年)を上乗せした[1]。

(使徒*よ、)言ってやれ。「彼らが過ごした期間については、アッラー*が最もよくご存知である。かれにこそ、諸天と大地の不可視の世界*(に関する知識)は属するのだから。かれは何とよくご覧になり、お聞きになるのであろうか!彼ら(人間)には、かれの外にいかなる庇護者もいないのであり、かれはご自身のご裁決に、誰も干渉させはしないのだ」。

(使徒*よ、)あなたの主*の啓典から、あなたに啓示されたものを読誦[1]せよ。かれの御言葉にはいかなる変更もなく、あなたはかれ以外に、いかなる避難所も見出すまい。

また(預言者*よ)、その御顔を望みつつ、朝に夕に自分たちの主*(だけ)に祈る者たちと共に、忍耐*せよ[1]。そして現世の生活の飾りを欲して、あなたの眼が彼ら(信仰者たち)から(不信仰者*へと)逸れてしまうようではならない。また、われら*がその心をわれら*の唱念から遠ざけさせ、自らの欲望を追求し、その状態が破滅に陥ってしまった者に従ってはならない。

そして、言うのだ。「(私が伝えるのは、)あなた方の主*からの真実。ならば、誰でも望む者は(それを)信じ、誰でも望む者は、否定せよ」。本当にわれら*は不正*者たちに、その塀が彼らを包みこむ(、地獄の)業火を用意しておいたのだから。そして、もし彼らが(ひどい喉の渇きゆえに)救いを求めれば、(煮えたぎった)どろどろの油[1]のような、顔面を焼き焦がす水で救われる。その飲み物は何と醜悪であり、それ(業火)は休息所として、何と忌まわしいことか。

実に信仰し、正しい行い*を行う者たち、(彼らには偉大な褒美がある、)本当にわれら*は、行いに善を尽くした者[1]の褒美を無駄にはしないのだから。

それらの者たちにこそは、その下から河川が流れる永久の楽園がある。彼らはそこで、金のブレスレットで飾り付けられ、精巧な絹地と重厚な絹地からなる緑色の衣をまとう[1]。そこで、寝台にもたれかかりつつ。その褒美は何と素晴らしく、それ(楽園)は休息所として何と素敵であろうか。

(使徒*よ、)彼ら(不信仰者*たち)に、(一方は信仰者、もう一方は不信仰者*である)二人の男の譬えを挙げてやれ。われら*は彼らの一方(不信仰者*)に、葡萄からなる二つの果樹園を与え、その二つの周りをナツメヤシの木で囲み、その(二つの果樹園の)間には作物を実らせてやった。

いずれの果樹園もその果実を実らせ、それ(収穫)に何の不足も齎さなかったし、われらはその(二つの果樹園の)間から(、それらに水をやる)川を噴き出させた。

彼(不信仰者*)には、収穫[1]があった。そして彼は、その連れ合い(信仰者)と話し合いながら[2]、(自惚れつつ、)彼に(こう)言った。「私はあなたよりも財産が沢山あるし、もっと強い衆がついている」。

そして彼(不信仰者*)は、自らに不正*を働きつつ[1]、自分の果樹園に入った。彼は(その実りを喜び、)言った。「これ(果樹園)が絶対に、消え失せてしまうとは思わないし、

(復活の)その時が起きるとも思わない。そして(信仰者よ、あなたが主張しているように)、もしも自分が我が主*の御許に戻らされたとしても、私は絶対にそれ(自分の果樹園)よりも善いものを、(自分の)帰り先として見出すのだ[1]」。

彼の連れ合い(信仰者)は、彼(不信仰者*)と話し合いつつ、(警告して)言った。「一体あなたは、あなた(の祖父アーダム*)を土からお創りになり[1]、その後に(両親からのものである)一滴の精液から(あなたを創られ)[2]、それから(均整の取れた姿形の)人間として整えて下さったお方を否定するのか?

しかし私は(、あなたのような不信仰の言葉は言わず、こう言おう)、かれ、つまりアッラー*は我が主*であり、私は我が主*に誰一人並べ(て崇拝*し)たりはしない。

そして、あなたはどうして自分の果樹園に入(り、嬉しくな)った時、『(これは、)アッラー*がお望みになったこと[1]。アッラー*による以外、いかなる力もない[2]』と言わなかったのか?たとえ、あなたが私を、自分よりも財産と子女が少ない者と見なしたとしても。

我が主*は私に、あなたの果樹園よりも善いものを授けて下さ(り[1]、あなたへの恩恵は消滅させられ)るだろう。そしてかれは、天からそこ(あなたの果樹園)に懲罰を送られ給い、それはある朝、(丸裸で)つるつるの地面となってしまうだろう」。

あるいはある朝、その水は(地下に沈んで)無くなってしまい、あなたはそれを求めることが、もはや出来なくなってしまうだろう」。

こうして、彼(不信仰者*)の果実は全滅させられ、彼はその朝、自分がその(果樹園の)ために費やしたものゆえに(嘆き悔しがり)、その両手の平を返した[1]。それは(葡萄)棚ごと、崩れ落ちてしまった[2]。彼は、(こう)言った。「ああ、我が主*(の恩恵と御力を認め、かれ)に誰のことも並べていなかったら!」

彼には、アッラー*(の懲罰)に対して自分を助けてくれる集団もなかったし、自ら(自力で)助かる者でもなかった。

そこにおいて庇護は、真実のお方アッラー*にこそ属する[1]。かれは(かれの盟友である信仰者たちにとって)最良の褒美をお授けになるお方であり、最良の結末を与えて下さるお方。

(使徒*よ、)彼らに現世の生活の譬えを挙げよ。(それは、)われら*が天から降らせる(雨)水のようなもので、大地の(様々な)植物は、それと混合(し、茂って互いに混生)する。そして(やがて)それは、風が吹き散らす枯れ草となってしまうのだ。アッラー*は全てのことに、全能なお方である。

財産と子供は現世の生活の飾り。そして永遠に残る正しい行い*[1]は、あなた方の主*の御許でより善い褒美をもたらすものであり、より善い希望を叶えるものなのである。

われら*が山々を動かす[1]日(のことを、彼らに思い起こさせよ)。そして、あなたは大地が露わになる[2]のを見る。われら*は彼らを(清算の場へと)召集し、彼らの内の一人たりとも放ってはおかない。

そして彼らは列をなして、あなたの主*へと差し出される。(かれは、仰せられる。)「あなた方は確かに(蘇らされ)、われら*があなた方を最初に創った時のように、われら*のもとに、一人きりでやって来た[1]。いや、あなた方(復活の否定者たち)は、われら*があなた方に(復活と報いの)約束を果たす時など、定めはしないだろうと思い込んでいたのだ」。

そして、(現世での行いの)帳簿が(各人の右手、あるいは左手に)置かれ[1]、あなたは罪悪者たちが、そこにあるもの[2]ゆえに怯えて、(こう)言うのを見る。「ああ、我らが災いよ![3](罪の内、)小さいことも大きいことも(記録して)数え上げずにはおかない、この帳簿は一体どういうことなのか!?」彼らは、自分たちが(現世で)行ったことをありありと目にする。あなたの主*は誰にも、不正*を働いたりはしないのだ。[4]

われら*が天使*たちに、「アーダム*にサジダ*せよ」と言い、彼らが(全員)サジダ*[1]した時のこと(を思い起こさせよ)[2]。但しイブリース*は、別だった。彼(イブリース*)はジン*の類いで、自らの主*のご命令に対して放逸だったのだ。(人々よ、)一体あなた方は、彼(イブリース*)と彼の子孫を、われをよそに盟友とするのか?彼らはあなた方の敵だというのに。(アッラー*への服従をよそに)不正*者たちが代わりとするもの(シャイターン*への服従)は、何と醜悪であろうか。

われは諸天と大地の創造にも、彼ら自身の創造にも、彼ら(シャイターン*とその子孫)を立ち会わせ(て、それを手伝わせ)たりはしなかったし、もとより、迷わせる者たちを補佐役としたりもしなかったのだ(、それなのに、なぜわれら*をよそに、彼らを盟友とするのか?)。

かれ(アッラー)が(シルク*の徒に、こう)仰せられる(復活の)日のこと(を思い起こさせよ)。「あなた方が(崇拝*における、われの同位者だと)主張した、わが同位者たちを呼んで(、懲罰から助けを乞うて)みよ」。それで彼らは、彼ら(アッラー*の同位者としていたもの)のことを呼ぶものの、応じることはない。われら*は彼らの間に、破滅の場をもうけたのだ[1]。

罪悪者たちは業火を目にし、彼らがそこに入る身の上であることを確信する。そして彼らは、そこからのいかなる逃げ道も見出すことがない。

われら*は確かに、このクルアーン*の中であらゆる譬えを、人々に対して多彩に示した。そして人間はもとより、最も議論ばかりしている生きものである。

人々に導き[1]が到来した時、信仰し、自分たちの主*にお赦しを乞うことから阻んだのは、昔の人々(に対するアッラー*)の摂理[2]が自分たちに訪れること、または懲罰が彼らの眼前に訪れる(のを、彼らが自ら要求した)こと以外の何ものでもなかった。[3]

そして、われら*が使徒*たちを遣わすのは、吉報を伝え、警告を告げる者[1]としてに外ならない。けれども、不信仰に陥った者*たちは真理を消し去るべく、虚妄によって議論する[2]。わが御徴[3]と、彼らが警告されたもの(懲罰)を嘲笑の的としつつ。

自分の主*の御徴によって戒められてから、それに背を向け、自分の手が行った(醜悪な)物事を忘れてしま(い、悔悟しなか)った者よりも、ひどい不正*を働く者があろうか?本当にわれら*は、彼らがそれ(クルアーン*)を理解できないように、彼らの心には覆いを、その耳には重しをかけたのだ[1]。たとえあなたが彼らを導きへと招いても、それでも彼らは永遠に導かれまい[2]。

あなたの主*は、赦し深いお方、慈悲の主。もしかれが、彼らが稼いだもの(罪)ゆえに彼らをお咎めになれば、彼らに対する懲罰をお急ぎになったであろう。(だが、アッラー*は懲罰をお急ぎにはならない、)いや、彼らには、彼らがそこから逃げ場を見出すことがない、(決められた)約束[1]があるのだ。

また、それらの町々(の人々[1])は、(不信仰という)不正*を働いた時、われら*が滅ぼした。そしてわれら*は彼らの滅亡に、約束の期限を定めておいたのである。

ムーサー*がその従者[1]に、(こう)言った時のこと(を思い起こさせよ)。「私は二つの海が交わる場所に着くまで、あるいは長時間歩み続けるまでは、(旅を)やめない」。[2]

それで二つ(の海)が交わる場所に到着し(、岩に腰を下ろし)た時、彼ら二人は自分たちの(食事として携えてきた)魚を忘れてしまった。そしてそれ(魚)は、(生き返って海に潜って行き、)海中の、トンネルの道を進んで行った。[1]

そして二人が(その場所を)離れ(て、翌日まで旅を続け)た時、彼(ムーサー*)は従者に言った。「私たちの昼ご飯をよこしなさい。私たちは、この旅で、本当にくたびれてしまったのだから」。

彼(従者)は、言った。「ご覧になりましたか?[1]私たちが、岩に身を寄せた時のことです。本当に私は、魚(のことをあなたに伝えるの)を忘れてしまいましたーー私にそれを思い出すことを忘れさせたのは、シャイターン*に外なりませんーー。そして、それ(魚)は驚くべきことに、(生き返って)海中の(トンネルの)道を進んで行ったのです」。

彼(ムーサー*)は、言った。「それが、私たちの求めていたもの[1]」。それで二人は自分たちの(歩んできた)跡を辿りつつ、(岩まで)引き返した。

そして二人は(そこに)、われら*がわれら*の御許から慈悲を授け、われら*の御許からの知識を与えた、われら*の僕たちの内の一人である僕(ハディル)を見つけた。

ムーサー*は、彼に(挨拶した後、)言った。「あなたが、(アッラー*から)あなたに教示されたものの内からの導きを、私に教えて下さることを前提に、あなたについて行ってもよろしいでしょうか?」

彼(ハディル)は、言った、「絶対にあなたは、私との同伴に耐えることが出来ないだろう。

そしてあなたは、(アッラー*が私に教えて下さったことの内、)自分が熟知してもいないことに関し、どうやって忍耐*するというのか?」

彼(ムーサー*)は、言った。「あなたは私が、--アッラー*がお望みならばーー忍耐*ある者であることを見出すでしょうし、私は(あなたの)命令において、あなたに逆らいません」。

彼(ハディル)は、言った。「では、もし私について来るなら、(あなたが否認するような)いかなることに関しても、私に質問してはならない。私があなたに、(あなたから質問される前に)それについて説明するまでは」。

二人は出発した。やがて二人が船に乗(せてもら)った時、彼(ハディル)はそこに穴を開けた。彼(ムーサー*)は言った。「一体あなたは、その人々を溺れさせるために、そこに穴を開けてしまったのですか?あなたは確かに、大層なことをしでかしました[1]」。

彼(ハディル)は、言った。「一体、私は、『絶対にあなたは、私との同伴に耐えることが出来ないだろう』と言わなかったのか?」

彼(ムーサー*)は、言った。「忘れてしまったことについて、私を咎めないで下さい。そして私の物事[1]において、私に困難を課さないで下さい」。

二人は出発した。やがて二人が一人の少年と会い、彼(ハディル)が彼(少年)を殺した時、彼(ムーサー*)は言った。「一体あなたは、誰か一人(の命)の代償としてでもなく[1]、無垢な人間を殺してしまったのですか?あなたは確かに、認められない事をしでかしました」。

彼(ハディル)は、言った。「一体、私は、あなたに、『絶対にあなたは、私との同伴に耐えることが出来ないだろう』と言わなかったのか?」

彼(ムーサー*)は言った。「この後もし、私があなたに何か尋ねることがあれば、私と同伴しなくても結構です。あなたは私に関して、既に(同伴を断る)弁解(の理由)を見つけたのですから」。

こうして二人は出発した。そして、ある町の民のところに行き着いた時、二人はその民に食事(によるもてなし)を乞うたが、彼らは二人をもてなすことを拒んだ。すると二人はその(町の)中に、今にも崩れ落ちそうな壁を見つけ、彼(ハディル)がそれを直した。彼(ムーサー*)は言った。「もしお望みなら、あなたはそれで見返りを得ることが出来ましたのに」。

彼(ハディル)は言った。「これが私とあなたの、別れ(の時)だ。あなたが我慢できなかったことの解釈を、あなたに語って聞かせよう。

あの船はといえば、それは(それを手段に)海で働く貧しい者たちの物であった。それで、私はそれ(船)を傷物にしようとしたのだ。というのも彼らの行く手には、(正常な)あらゆる船を強奪する王がいたから。

また、あの少年はといえば(、アッラー*は彼が不信仰者*となることをご存知であったが)、その両親が信仰者だったので、私たち[1]は彼が、二人(両親)にひどい放埓さと不信仰を強いること[2]を恐れた。

それで私たちは、二人の主*が彼らに、彼よりも方正さに優り、より慈悲深い者[1]を、代わりに授けて下さることを望んだのだ。

また壁はといえば、それは町の孤児である、二人の少年のものであった。そしてその下には、二人のための財宝があり、二人の父親は正しい*人であった。それであなたの主は、二人が成熟し[1]、自分たちの財宝を掘り出すことを、あなたの主からの(彼らに対する)ご慈悲として、お望みになったのだ。そして(ムーサー*よ、)私はそれ(ら)を、自分の一存でしたわけではない[2]。それが、あなたが我慢することの出来なかったことの、解釈である。」

また(使徒*よ)、彼らはあなたに、ズル=カルナイン*について尋ねる。言え。「私は彼について、あなた方に教訓を誦んできかせよう」。

本当にわれら*は、地上において彼のために手はずを整え、あらゆることに関する手段[1]を彼に授けた。

それで彼は、手段に則っ(て、それを駆使し)た。

こうして太陽が沈む土地に到達した時、彼はそれ(太陽)が(煮えたぎる)黒い泥の泉へと沈むのを見出し[1]、そこである民を発見した。われら*は言った。「ズル=カルナイン*よ、(彼らの内、信仰しない者を)罰するか、あるいは彼ら(を導くため)に善くしてやるのだ」。

彼(ズル=カルナイン*)は、言った。「不正*を働く者については、私たちが罰を下そう。それからその者は、自分の主*の御許へと戻らされる。そしてかれは、忌まわしい懲罰でその者を罰せられるのだ。

また、信仰し、正しい行い*を行う者といえば、その者には褒美として最善のもの(天国)がある。そして私たちは私たちの命令において、彼に易しい言葉を用いよう」。

それから彼は(東へと)、手段に則っ(て、それを駆使し)た。

そして太陽が昇る場所に着いた時、彼はそれ(太陽)が、ある民の上に昇るのを見出した。われら*はそれ(太陽)に対して、彼らにいかなる覆いも与えなかった[1]。

(事は)このような次第であった。われら*は確かに、彼に備わっていたもの[1]を熟知していたのである。

それから彼は(また別方向に向かい)、手段に則っ(て、それを駆使し)た。

そして(行く手を)阻む二つのもの(山)に着いた時、その手前[1]に、自分たち以外の)言葉をほとんど理解しない民を発見した。

彼らは言った[1]。「ズル=カルナイン*よ、本当にヤァジュージュとマァジュージュ[2]は、地上で腐敗*を働いています。あなたに報酬を差し上げますから、私たちと彼らの間に障壁を築いては頂けないでしょうか?」

彼は言った。「我が主*が私に与えて下さったものの方が、(あなた方の財産)より善いのである。それでは、私に力を貸しなさい。あなた方と彼らの間に、高壁を築いてあげるから」。

(ズル=カルナイン*は、彼らに言った。)「鉄片を私によこしなさい」。そして山と山の間を(それで)平坦にすると、言った。「(火を起こして、ふいごを)吹け」。そしてそれ(鉄片の山(を火にすると、言った。「溶けた銅を私によこすのだ。そこに、注ぎ込むから」。

こうして彼ら(ヤァジュージュとマァジュージュ)は、それ(高壁)を越えることも出来ず、それに(下から)穴を開けることも叶わなかった。

彼(ズル=カルナイン*)は言った。「これは、我が主*からのご慈悲。そして我が主*のお約束[1]が到来すれば、かれはそれ(高壁)を真っ平らにされる。そして我が主*のお約束は、もとより真実なのだ」。

また、われら*は彼ら(ヤァジュージュとマァジュージュ)をその日、次から次へと押し寄せ、入り混じるがままにさせる。そして角笛[1]が吹き鳴らされ、われら*は彼ら(人々)を一斉に召集するのだ。

また、われら*はその日、不信仰者*たちに地獄をまざまざと見せる。

(彼らは)われら*の教訓から、その眼を覆われていた者たちであり、聞くことも出来なかったのだ。[1]

一体不信仰に陥った者*たちは、われを差しおいて、わが僕たちを庇護者としようと思っていたのか?[1]本当にわれら*は地獄を、不信仰者*たちの御もてなし[2]として用意しておいたのである。

(使徒*よ、)言うがよい。「あなた方に、行いにおける最大の損失者について教えようか?

(彼らは、)自分たちが善い仕事をしていると思いつつ[1]も、(実は)現世の生活での自分の努力が、徒労になってしまっている者たち」。

それらの者たちは、自分たちの主*の御徴と、(来世における)かれとの拝謁を否定し、それでその行いが無駄になった者たち。それでわれら*は復活の日*、彼らに僅かばかりの価値も認めないのだ。

それは彼らが不信仰に陥り、わが御徴とわが使徒*たちを嘲笑の的としていたことゆえの、地獄という彼らの応報である。

本当に、信仰し、正しい行い*を行う者たちには、御もてなしとしてフィルダウスの楽園[1]がある。

(彼らは)そこに永遠に留まり、そこから(いかなる別の場所にも)移されることを望まない。

(使徒*よ、)言ってやれ。「もし海が、我が主*の御言葉(を書き写すため)のインクであったとしたら、我が主*の御言葉が尽きる前に、海は枯れ果ててしまったであろう。たとえ、われら*がそれと同様のものをもう一つ、補充分として持って来たとしても」。[1]

(使徒*よ、)言え。「私は、『あなた方の(真に)崇拝*すべきは、ただ一つの神[1]』と啓示が下されている、あなた方と同様の一人の人間に過ぎない。それで自分の主*との拝謁を望む[2]者は、正しい行い*に励み、自分の主*の崇拝*において、いかなるものも並べてはならない[3]」。